中古車や新車を購入する際、きっと新しいカーライフに胸を膨らませていることでしょう。
ただ、車を手に入れると「車庫証明」という手続きが必要になりますが、入手にあたって以下のような疑問や不安をお持ちではないでしょうか。
- 月極駐車場を契約したけど、手続きはどうやるの?
- 書類って何が必要で、費用はいくらかかるんだろう?
しかし、ご安心ください。
車庫証明の取得は、手順さえ分かれば決して難しいものではありません。
この記事では、初めての方でもスムーズに手続きできるよう、車庫証明の必要性から申請の流れ、必要書類の書き方、よくある質問まで、分かりやすく解説していきます。
月極駐車場で車庫証明は本当に必要?
新しく車を所有する際に耳にする「車庫証明」。
そもそも、なぜこの証明書が必要なのでしょうか。
まずは、車庫証明の基本的な役割と法律上の位置づけについて見ていきましょう。
車庫証明が法律で定められている理由
車庫証明の正式名称は「自動車保管場所証明書」です。
この証明書は、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」に基づき、すべての自動車所有者に義務付けられています。
この法律の目的は、路上駐車による交通の妨げを防ぐことです。
きちんと保管場所が確保されている車にのみ登録を許可することで、道路の安全と円滑な交通を維持しています。
つまり車庫証明は、自分の車を適切に保管する場所があることを公的に証明するための、非常に重要な書類なのです。
軽自動車でも車庫証明は必要なのか
普通自動車とは異なり、軽自動車の場合は「証明」ではなく「届出」という手続きになります。
これを「保管場所届出」と呼びます。両者の違いを下の表にまとめました。
項目 | 普通自動車(車庫証明) | 軽自動車(保管場所届出) |
手続きのタイミング | 運輸支局での登録前 | ナンバー取得後15日以内 |
目的 | 自動車の登録要件 | 保管場所の届け出 |
提出先 | 保管場所を管轄する警察署 | 保管場所を管轄する警察署 |
違反時の罰則 | 10万円以下の罰金 | 10万円以下の罰金 |
このように、手続きのタイミングに大きな違いがあります。
普通自動車は車庫証明がないとナンバープレートが交付されませんが、軽自動車はナンバープレート取得後の手続きです。
ただし、都市部など地域によっては届出が義務付けられています。
これは人口が集中するエリアでの駐車問題を防ぐための措置です。
届出が必要かどうかは、お住まいの地域を管轄する警察署のウェブサイトで確認するか、直接問い合わせるのが最も確実です。
車庫証明がいらない例外的なケースとは
車庫証明は原則として必要ですが、一部不要なケースも存在します。
- 適用除外地域に住んでいる場合
- 買い替えで保管場所が変わらない場合
適用除外地域は、主に村部など交通量が比較的少ない地域が指定されています。
ご自身の地域が該当するかは、管轄の警察署のウェブサイトで確認できるので、事前に確認しておきましょう。
また、車の買い替えで保管場所の住所や位置に変更がなければ、手続きが不要な場合があります。
月極駐車場の車庫証明を取得するまでの流れ
車庫証明の取得は、正しいステップを踏めばスムーズに進みます。
ここでは、月極駐車場を契約してから証明書を受け取るまでの具体的な流れを5つのステップで解説します。
1. 月極駐車場を探して契約する
まず、車庫証明の申請条件を満たす月極駐車場を探し、賃貸契約を結びます。申請には以下の条件を満たす必要があります。
- 自宅から駐車場までの直線距離が2km以内
- 道路からの出入りに支障がない
- 自動車全体を収容できるスペースがある
- その保管場所を使用する権原を有している
特に自宅から2kmという距離の条件は厳格なため、駐車場探しの際は必ず確認してください。
2. 管理会社から使用承諾書をもらう
駐車場の契約が完了したら、管理会社や大家さんに連絡し、「保管場所使用承諾証明書」を発行してもらいます。
これは、駐車場の所有者があなたに場所を貸していることを証明する重要な書類です。
発行には数日から1週間程度かかる場合があり、手数料(3,000円~5,000円程度)が必要なケースが一般的です。
3. 警察署で申請書類一式を入手する
次に、申請に必要な書類一式を準備します。書類は、駐車場のある地域を管轄する警察署の交通課窓口で受け取れます。
また、各都道府県警のウェブサイトからダウンロードも可能です。事前にダウンロードして記入しておくと、当日の手続きがスムーズに進みます。
4. 書類を準備して警察署の窓口に提出
すべての書類が準備できたら、警察署の窓口に提出します。受付時間は平日の日中(例:午前9時~午後5時)のみの場合がほとんどです。
提出時に申請手数料(2,000円~2,300円程度)を支払います。書類に不備がなければ、証明書が交付される日を伝えられて、この日の手続きは完了です。
5. 証明書とステッカーを受け取る期間
申請から約3日~7日(土日祝日を除く)で、車庫証明書が交付されます。
指定された日以降に、申請時にもらった納付書や引換券を持って再び警察署へ向かいます。
窓口で「自動車保管場所証明書」と、車のリアガラスに貼る「保管場所標章(ステッカー)」を受け取ります。
この際、標章交付手数料として500円程度が必要です。
車庫証明の必要書類と書き方を詳しく解説
車庫証明の申請で最も重要なのが書類準備です。
以下が必要な書類と入手方法になりますが、ここでは必要な書類の種類と、特に重要な書類の書き方について詳しく解説します。
必要書類 | 入手場所 |
自動車保管場所証明申請書 | 警察署、ウェブサイト |
保管場所使用承諾証明書 | 駐車場の管理会社・大家さん |
保管場所の所在図・配置図 | 自身で作成 |
使用の本拠の位置が確認できるもの | 自身で用意 |
収入印紙 | 警察署内の交通安全協会など |
これらの書類を一つずつ見ていきましょう。
自動車保管場所証明申請書の書き方
申請書の様式は複写式になっていることが多く、警察署で受け取るのが確実です。
記入には車検証の情報が必要になるため、手元に用意しておきましょう。
- 車名、型式、車台番号、自動車の大きさ:車検証の通りに正確に記入
- 自動車の使用の本拠の位置:実際に住んでいる住所を記入
- 自動車の保管場所の位置:駐車場の住所を記入
- 申請者:あなたの住所・氏名・電話番号を記入
記入ミスがあると再提出になるため、丁寧な記入を心がけてください。
保管場所使用承諾証明書の入手方法
この書類は、月極駐車場の管理会社や大家さんに依頼して発行してもらいます。
駐車場契約の際に、車庫証明を取得したい旨を伝えておくとスムーズです。
不動産会社が仲介している場合は、その担当者に依頼しましょう。
自分で作成したり、勝手に記名したりすることは絶対にやめてください。
この書類がないと申請が受理されないため、必ず正式なものを入手する必要があります。
前述の通り、発行手数料がかかることがほとんどです。
所在図・配置図はグーグルマップでもOK?
所在図と配置図は、保管場所の状況を説明するための地図です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
所在図は、自宅と駐車場の位置関係を示す地図です。
Googleマップなどを印刷し、自宅と駐車場をそれぞれマーキングすれば問題ありません
両地点間の直線距離も忘れずに記入します。
配置図は、駐車場の具体的なレイアウト図です。
駐車スペースの寸法(縦・横)、接する道路の幅員、駐車場の出入り口を明記する必要があります。
手書きまたはPCで作成します。
特に配置図の寸法は、契約する車のサイズが収まることを示す上で重要です。
その他に必要な本人確認書類など
申請時には、申請者の住所を確認するための書類の提示を求められることがあります。
- 運転免許証
- 住民票の写し
- 公共料金の領収書
いずれかを持参すると安心です。
申請にかかる手数料はいくらくらい?
申請には、法定の手数料が必要です。
金額は都道府県によって若干異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
手数料の種類 | 金額の目安 |
証明書申請手数料 | 2,000円~2,300円 |
標章交付手数料 | 約500円 |
合計 | 約2,500円~2,800円 |
これらの手数料は、警察署の窓口で収入印紙を購入して支払います。
車庫証明は自分でやる?ディーラーに頼む?
車庫証明の申請は、自分で行う方法と、車の購入先であるディーラーなどに代行を依頼する方法があります。
それぞれのメリット・デメリットを以下の表で比較してみましょう。
比較項目 | 自分で申請する場合 | ディーラーに代行を依頼する場合 |
費用 | 実費のみ(約2,800円) | 実費+代行手数料(合計10,000円~20,000円) |
手間 | 平日に2回警察署へ行く必要がある | 書類を準備するだけで済む |
時間 | 半日~1日程度の時間が必要 | 時間の節約になる |
安心感 | 書類不備のリスクがある | プロが対応するため確実 |
手間と金額が反比例するような感じになっています。
どちらの方法が良いかは、あなたの状況次第であるため、よく考えて選ぶようにしてください。
自分で申請する場合の費用と手間
最大のメリットは費用を安く抑えられる点です。
代行手数料がかからず、法定費用だけで済みます。
一方、平日の日中に最低でも2回は警察署へ足を運ぶ必要があるため、仕事などで時間がとりにくい方にはデメリットとなります。
ディーラーに代行を依頼するメリット
代行を依頼すれば、面倒な書類作成や警察署への提出・受け取りをすべて任せられます。
時間と手間を大幅に節約できるのが最大のメリットです。
またプロに任せることになるので、安心感もメリットの1つと言えるでしょう。
ただし、10,000円から20,000円程度の代行手数料が上乗せされるため、費用は割高になります。
中古車購入時に手続きを任せる注意点
中古車販売店に代行を依頼する場合、事前に代行手数料がいくらかかるのか、見積もりを必ず確認しましょう。
手数料は販売店によって異なるため、契約前に総額を把握しておくことが後のトラブルを防ぎます。
月極駐車場の車庫証明でよくある質問
最後に、車庫証明の申請に関して多くの方が抱くよくある質問5つに回答していきます。
基本的な事項に回答しているので、しっかり確認しておきましょう。
1ヶ月だけの短期契約でも車庫証明は取れる?
原則として、短期契約では車庫証明の取得は難しいでしょう。
車庫証明は、自動車を安定的・継続的に保管する場所を確保していることを証明する制度です。
そのため、多くの警察署では1年以上の契約期間を前提としています。
自宅から駐車場が2km以上離れていたら?
申請は受理されません。
「使用の本拠地の位置から2キロメートルを超えないこと」という要件は、法律で定められた絶対条件です。
申請前に、必ず自宅と駐車場の直線距離を確認してください。
申請が通らない場合はどうすればいい?
万が一、申請が受理されなかった場合は、警察署の担当者がその理由を説明してくれます。
主な理由としては、書類の不備、記載内容の誤り、保管場所の条件不適合などが挙げられます。
理由を確認し、不備を修正した上で再度申請を行ってください。
使用承諾書の発行手数料は断れる?
発行手数料は、管理会社や大家さんが書類を作成・発行するための事務手数料です。
これを断ることは基本的にできません。駐車場を契約する際の諸費用の一部と考えておきましょう。
コインパーキングでは申請できないのか
コインパーキングや時間貸し駐車場では車庫証明を取得できません。
特定の駐車スペースを24時間いつでも使用できる権利が確保されていないため、「保管場所」とは認められないのが理由です。
まとめ
月極駐車場を借りて車庫証明を取得するプロセスは、手順が多くて複雑に感じるかもしれません。
しかし、一つひとつのステップを丁寧に進めれば、誰でも確実に手続きを完了できます。
月極駐車場選びの重要なポイントは、以下の3点です。
- 自宅から2km以内の駐車場を契約する
- 必要書類を不備なく準備する
- 平日の日中に警察署へ行く時間を確保する
最初は聞き慣れない言葉や手続きに戸惑うかもしれませんが、一つずつ確認しながら進めれば決して難しいことではありません。
万が一、不明な点があれば、管轄の警察署の交通課に問い合わせれば親切に教えてくれます。
しっかりと準備を整えて、安心して新しい車との生活を始めてください。
この記事を参考に、スムーズに車庫証明を取得し、快適なカーライフをスタートさせましょう。